心の鈴 ~はじめに~

今年も水仙が咲きました。

小さな株だったのに、アスファルトを押しのけ年々大きくなっています。

アイサポート株式会社が立ち上がって6年と少し。創業以来お世話になっている私が、本年からHPのブログに参加させて頂く事となりました。

 さてさて何をお伝えしていこうか?と思いをめぐらせておりますが、その時その時、ビビビ(←昔そういって結婚を決めたアイドルがいましたが・・・)ときた事をそのまま書かせていただくことにします。

この6年間、『あきず』と『隣』で何があったか?と振り返ると、そこにはたくさんの出逢いがありました。ここに居なければなかったかもしれない出逢い。その出逢いは折に触れて私の心の鈴をチリンと鳴らしてくださいます。

♪心の鈴 ~その1~

 

『あきず』が出来て間もない頃、Mさんというお若いご利用者様に出逢うことができました。

ご病気の影響で、全身に痛みがあり歩くのもままならない状態でした。満身創意。

そんな状態でも弟の手を出来るだけ煩わせたくないと介護の必要なお母様と同居し、手を引くことはできないけれどとお母様のお好きな歌を歌いあたたかく見守っておられました。

少しでも明るくなるようにと、ご自宅にはフワフワとした少女が愛するようなクッションを置き、日々使われる杖にはご自分で可憐な小花の模様を描かれ、「かわいいでしょ」と『あきず』にはフェルトで作られたロールケーキをプレゼントしてくださいました。

おひとりで痛みや不安に耐えるより『あきず』に居たほうが気が晴れると、机に臥すようにされている時間が長くなっても来てくださっていました。

 

お体のどこを支えても痛みが走り、強く握ると骨折してしまうまでになってしまったある日、私は腰や腕にそっと触れるだけのお手伝いしかできぬままMさんをご自宅までお送りしました。車を降りて2、3歩・・・Mさんは足を揃えて立ち止まり「ありがとう。次に行けるか分からないけど、次!!また、よろしくね。」と、曲げることができないはずの腰をしっかりと折って仰ってくださいました。

「次」を心配する私以上に、Mさんはご自分の状況を理解されていたのだと思います。

玄関の扉を閉める時、振り返って見せてくださった最後の笑顔は、窓越しに当たるあたたかい日差しを背に受けて微笑んでおられた初めてお目にかかった時と同じ、優しい瞳の笑顔でした。

 

女手ひとつでの息子さんを育て、姉として、娘として、母として最期の時まで尽くされたMさん。小柄で、透き通ってしまうような白い肌、優しい笑顔の中に隠された強さ。

 

その姿、言葉、生き様に出逢えたことに感謝しています。

 

そして今もなお、時折チリンと鳴らしてくださる心の鈴・・・

その透き通った凛とした音を聞き逃さないようにと、今日また思い返しています。

 

                                   gen

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