社長のロダン講~その7~

考えるピン
考えるピン

 お久しぶりのロダン講更新です。トップの画像は昨年の枚方市デイサービス連絡協議会主催『年忘れボーリング大会』の受付の風景。ボーリングのピンがPCに向かって考えているシュールな絵が気に入り、パシャリ。特に意味はありません。

 

 ということで今回のお題ですが、介護事業者の事業計画について。

もう昨年のこととなってしまいましたが、居酒屋チェーン大手のワタミが損保ジャパン日本興亜ホールディングスに介護事業を売却したのは、皆さんの記憶に新しいことと思います。新聞記事を読み進めていくと、売却当時ワタミは111カ所の介護施設を運営していたとのこと。本業の居酒屋事業の経営不振が最大の譲渡事由との発表でしたが、一時金返還に係る複数の訴訟を抱えていたことや介護職員による虐待問題もその一因と記事は綴っていました。

(最近話題になっているSアミーユ転落事故の㈱メッセージも損保ジャパンの傘下入り。)

 

ワタミの介護事業への参入は2004年より開始されており、その当時の社長渡辺美樹氏はマスコミに対し、「2020年までに1000棟の介護施設を運営する」と公言していたそうです。

 

 と、このように最近よく聞く介護事業者のM&Aと不祥事問題(虐待等)の二個一セット報道。この手の報道を聞くたびに、いつも違和感を感じるのは私だけか?

 

 先ず、①「買収ってこの業界に馴染むのか?」という疑問。

 

商品という媒介させるが存在しないこの業態では、運営主体が直接、サービスに繋がっていくように感じる。

こんな難しい言い方をせずとも、要は自分の親を介護の評判のいい会社が運営する施設に入居させたら、次の日には親会社が全然畑違いの会社にとって代わっていた。

施設運営はそのまま維持するというが、親会社の企業の理論はその業界では正しくとも、介護の業界、もっと言うと「人を相手にすることを直接の目的とする」業界とは違うのではないか?と私なら考えてしまうのだ。

様々な業界の組織が介護という業態に参入することの是非は問わないし、要は結果利用者が満足すれば、それでいいと私は感じる。ただ、直接人間自体もしくはその生活を対象としたサービスにおいて、利用者がサービスを選択する前提は、そのサービスを提供する人であるだろうし、その人達が集まった組織であるだろうし、その組織で育まれた文化であると感じる私にとっては、選択の前提が崩れることをとても疑問に思うのである。

 

 次に、②「数値目標とは、何を前提に創っているのか?」という疑問。

 

掲げた数値の先に爺ちゃん・婆ちゃんの姿があるのか?目の前に爺ちゃん・婆ちゃんがいて、その生活を支えるために、何らかの手助けというか、支援というか、サービスというか、そういうものが必要であって、それを埋めるために事業を考え、そしてその事業を成功させるための数値目標なのか?という疑問だ。三好さんの言う「現前性」というやつだ。

渡辺さんが掲げた1000棟という目標の趣旨は解らないし、人にどうこう言われる問題でもない。

ただ強く思うのは、私達は利用者の目の前にある必要から事業を組み立て、それを実現するために目標を立てるという順序を厳格に守っていこうということである。

 

 と、硬いことを書き連ねましたが、本年も変わらずグニャグニャいこうと思いますので、よろしくお願いします~。